会社員として働いている人の中には、別の会社への転職や会社をやめて自営業になることを考えている人もいます。
新卒で入社した会社で働いている場合は、退職した経験がなく、いざ退職しようと思ったときにどのようなことをすれば良いのかわからないことが多いです。
私は、新卒で入社した会社で9年間働いていましたが、子どもがうまれたことをきっかけにフリーランスエンジニアに転職しました。
本記事では、退職した経験をもとに「退職前にやること」と「退職後にやること」を紹介します。
本記事を読むことで、退職経験がない人でも、退職前後に何をすればよいかがわかります。
- 退職のタイミングを考える
- 退職の意思を伝える (〜2ヶ月前)
- 就業規則を確認する
- 退職日を調整する
- 退職願を提出する (〜1ヶ月前)
- 引き継ぎを行う (〜退職日)
- 有給休暇を消化する
- 会社貸与物を返却する
- 引越しを検討する
- クレジットカードを作る
- 健康保険の切り替えについて検討する
- 退職後の収入・支出を確認する
退職のタイミングを考える
退職する場合は、まずは退職のタイミングを考えます。
退職のタイミングは人によって違いますが、12月末や3月末などの区切りの良いタイミングで退職する人が多いです。
また、退職日を12月31日など月末最終日にするパターンも多いです。
12月末や3月末でなくても退職は可能ですが、プロジェクトの繁忙期などは避ける方が無難です。
退職の意思を伝える (〜2ヶ月前)
退職のタイミングが決まったら、会社側に退職する意思を伝えます。
まずは、直属の上司に伝える場合が多いです。
いつ退職するのかや、どうして退職するのかといったことはを聞かれることが多いため、あらかじめ回答を準備しておくとスムーズです。
退職の意思を伝えた際に退職を止められるケースもありますが、自分の意思を貫き通すことが大事です。
退職の意思を伝えるのは、退職の2ヶ月前までがオススメです。
就業規則を確認する
退職が決まったら、就業規則を確認します。
就業規則には、何日前までに退職願の提出が必要かということや、退職時に行う必要があることが記載されています。
退職手続きの漏れがないようにするために、事前に就業規則を確認します。
退職日を調整する
退職が決まったら、会社側と退職日を調整します。
まずは、この日に退職したいという退職希望日を伝えます。
プロジェクトや人員の状況によっては、退職日の調整を依頼される場合もあるため、可能な場合は調整して退職日を決めていきます。
退職願を提出するためには退職日を決める必要があるので、退職願の提出までに退職日を決めます。
退職願を提出する (〜1ヶ月前)
退職日が決まったら、退職願を作成して、提出します。
退職願は、会社ごとに決まった形式がある場合もあるので、作成前にテンプレート等があるか確認することがオススメです。
退職願の提出タイミングは会社によって異なりますが、退職日の1ヶ月前までに提出が必要という場合が多いです。
退職日が決まったら、なるべく早めに提出するのがオススメです。
引き継ぎを行う (〜退職日)
退職が決まったら、業務の引き継ぎを行っていきます。
引き継ぎのための資料やマニュアルを作成したり、後任の担当者と話をしたりして、退職日までに引き継ぎが完了するように進めていきます。
有給休暇を消化する
有給休暇が余っている場合は、退職日までに使うことがオススメです。
退職日の直前は引き継ぎ等で忙しくなる場合もあるため、退職が決まったら少しずつ消化していくことがオススメです。
また、最終出社日を退職日の少し前に設定して、最終出社日から退職日まで有給休暇を消化するというパターンも可能です。
業務の引き継ぎのスケジュールと合わせて、有給休暇のスケジュールを立てるのがオススメです。
会社貸与物を返却する
退職時は、会社からの貸与物を返却します。
貸与物としては、保険証、社員証、作業着、パソコン、スマホなどが多いです。
基本的には、会社からの貸与物については退職日までにすべて返却します。
保険証のように退職日ギリギリまで使うものについては、退職日の後日郵送で返却する場合があります。
引越しを検討する
社宅に住んでいる場合や引越しをしたいと思っている場合は、退職前に引っ越しを検討することがオススメです。
退職後の就職先が決まっていない場合や自営業になる場合などは、賃貸契約の審査が通らずに希望の住居を借りれない場合があるためです。
引越し予定がある場合は、会社員のうちに引越しすることをオススメします。
クレジットカードを作る
引っ越しと同じように、クレジットカードも会社員のうちに作っておくのがオススメです。
退職後の就職先が決まっていない場合や自営業になる場合などは、クレジットカードの審査が通らなくなる場合があるためです。
クレジットカードの作成には時間がかかる場合があるため、クレジットカードを作りたい場合は、なるべく早めに申し込みすることがオススメです。
健康保険の切り替えについて検討する
退職する場合は、健康保険の切り替えが必要です。
別の会社に転職する場合は、転職先の会社の健康保険に切り替えします。
退職後の転職先が決まっていない場合や自営業の場合は、次の3つの選択肢があります。
健康保険の切り替えは、退職後早めに手続きが必要なため、退職前にどれが良いのか検討しておくとスムーズに手続きが可能です。
- 国民健康保険に加入する
- 退職前の会社の健康保険を任意継続する
- 家族の扶養に入れてもらう
国民健康保険に加入する
国民健康保険は、会社の健康保険に加入していない人が加入する公的医療保険です。
国民健康保険の保険料は、前年の所得などをもとに決まります。
国民健康保険加入時の収入がない場合でも、会社員のころの年収が高い場合には、国民健康保険の保険料も高くなることがあります。
退職前の会社の健康保険を任意継続する
退職後も、退職前の会社の健康保険を任意継続することができます。
継続ができる期間は最長2年間で、申請すれば任意のタイミングでやめることができます。
任意継続する場合でも切り替えの手続きは必要となります。
また、会社員のころは健康保険の保険料の半分は会社が負担してくれていましたが、任意継続の場合は全額自己負担となるため、会社員のころよりも保険料は高くなります。
家族の扶養に入れてもらう
退職後の収入が少なく、他に会社員として働いている家族がいる場合には、家族の扶養にいれてもらうという選択肢もあります。
扶養に入る場合は、追加での保険料は不要です。
ただし、扶養に入るためにはいくつかの条件があったり、条件を外れると扶養から出ないといけなくなるなどの制約があります。
退職後の収入・支出を確認する
退職後の就職先が決まっていない場合や自営業になる場合などは、会社員のころと比べて収入や支出が大きく変わることがあります。
住民税や健康保険は会社員のときの収入に応じて金額が決まるため、退職して収入が少なくなった場合でも、想像以上に高い金額になる場合もあります。
退職前に退職後の収入・支出を把握しておくことで、想定外の出費で生活が苦しくなるということが少なくなります。
- 健康保険手続き
- 年金手続き
- 失業保険(雇用保険)の手続き
- 就職活動 エージェントに登録する
- 確定拠出年金の移管手続き
- 住民税の支払い
- 確定申告
健康保険手続き
退職する場合は、健康保険の切り替えが必要です。
別の会社に転職する場合は、転職先の会社の健康保険に切り替えします。
退職後の転職先が決まっていない場合や自営業の場合は、国民健康保険に加入する、退職前の会社の健康保険を任意継続する、家族の扶養に入れてもらうのいずれかを選択して手続きを行います。
健康保険の切り替え手続きには期限があります。
退職日から指定の日数以内に手続きが必要なため、退職日以降で早めに手続きするのがオススメです。
別の会社に転職する場合 | 転職先の会社で健康保険の手続きを行う |
転職先が決まっていない場合 | 国民健康保険に加入する or 退職前の会社の健康保険を任意継続する or 家族の扶養に入れてもらう |
開業(自営業)する場合 | 国民健康保険に加入する or 退職前の会社の健康保険を任意継続する or 家族の扶養に入れてもらう |
年金手続き
退職する場合は、年金の切り替えが必要です。
別の会社に転職する場合は、転職先の会社の年金の手続きをします。
退職後の転職先が決まっていない場合や自営業の場合は、国民年金に加入する、家族の扶養に入れてもらうのいずれかを選択して手続きを行います。
年金の切り替え手続きには期限があります。
退職日から指定の日数以内に手続きが必要なため、退職日以降で早めに手続きするをオススメします。
別の会社に転職する場合 | 転職先の会社で年金の手続きを行う |
転職先が決まっていない場合 | 国民年金に加入する or 家族の扶養に入れてもらう |
開業(自営業)する場合 | 国民年金に加入する or 家族の扶養に入れてもらう |
失業保険(雇用保険)の手続き
退職後の転職先が決まっていない場合は、失業保険(雇用保険)の手続きが可能です。
失業保険の手続き場所
失業保険の手続きは、居住地のハローワークで行います。
失業保険の手続きのタイミング
失業保険の手続きには、マイナンバーカードや通帳の他に、離職票が必要となります。
離職票は前職の会社から送付される書類で、退職日の数日後でないと受け取れません。
このため、ハローワークでの失業保険の手続きを行う場合は、退職日の数日後(離職票の受け取り以降)に行います。
失業保険の手続きの注意事項
失業保険の手続きを進める上で、いくつか注意が必要なことがあります。
- 働ける状態でありながら失業していることが条件の一つ
- 雇用保険の12ヶ月以上加入している必要がある
- 待機期間が終了するまでに、アルバイト等を行うと再就職した扱いになる場合がある
働ける状態でありながら失業していることが条件の一つです。
このため、健康状態に問題がある場合や、妊娠・出産などですぐには働けない場合は、失業保険の手続きを行うことができません。
また、失業保険の手続きを行うためには、雇用保険の12ヶ月以上加入している必要があります。
雇用保険に加入している(会社員として働いている)期間が12ヶ月未満の場合は、失業保険の手続きを行うことができません。
失業保険の手続き中に、アルバイト等を行うことにも注意が必要です。
ハローワークで離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間を待期期間といい、待機期間が終了するまでの間にアルバイト等を行うと再就職したとみなされることがあります。
再就職したとなった場合は、失業保険の手当が支給されなくなってしまうため、待機期間が終了するまでの間はアルバイト等はしないことがオススメです。
別の会社に転職する場合 | 不要 |
転職先が決まっていない場合 | 失業保険(雇用保険)の手続きが可能 ※ 手続きを行うための条件あり |
開業(自営業)する場合 | 不要 |
就職活動
退職後の転職先が決まっていない場合は、就職活動を行います。
就職活動を行う方法としては、次の3つが多いです。
- 求人サイトに登録する
- エージェントに登録する
- ハローワークで紹介してもらう
別の会社に転職する場合 | 不要 |
転職先が決まっていない場合 | 求人サイトに登録する or エージェントに登録する or ハローワークで紹介してもらう |
開業(自営業)する場合 | 不要 |
確定拠出年金の移管
退職前の会社で確定拠出年金に加入していた場合は、移管の手続きが必要です。
別の会社に転職して転職先にも確定拠出年金がある場合は、転職先の会社で手続きします。
転職先の会社に確定拠出年金がない場合や、退職後の転職先が決まっていない場合や自営業の場合は、IDeCoへの移管が必要になります。
移管には期限があるため、早めに手続きするのがオススメです。
別の会社に転職する場合 | ■ 転職先に確定拠出年金がある場合 転職先の会社で手続きする ■ 転職先に確定拠出年金がない場合 IDeCoに移管する |
転職先が決まっていない場合 | IDeCoに移管する |
開業(自営業)する場合 | IDeCoに移管する |
住民税の支払い
退職後の転職先が決まっていない場合や自営業の場合は、住民税の支払いが必要です。
会社員の場合は源泉徴収で給料から天引きされているので、住民税の支払いを意識することは少ないですが、会社員でない場合は振り込み用紙等での支払いが必要です。
住民税は前年の所得を基準に金額が決まるため、退職した年は想像以上に高い金額になることもあります。
別の会社に転職する場合 | 源泉徴収のため、手続き不要 |
転職先が決まっていない場合 | 住民税の支払いが必要 |
開業(自営業)する場合 | 住民税の支払いが必要 |
確定申告
退職後の転職先が決まっていない場合や自営業の場合は、確定申告の手続きが必要な場合があります。
1月1日から12月31日までの1年間の所得が一定の金額以上の場合は、確定申告が必要となります。
別の会社に転職する場合 | 勤務先で年末調整を行うため、不要 ※ 副業の所得が20万円以上の場合などは必要 |
転職先が決まっていない場合 | 1年間の所得が20万円以上の場合は、確定申告が必要 ※ 所得が20万円以下でも確定申告は可能 |
開業(自営業)する場合 | 1年間の所得が48万円以上の場合は、確定申告が必要 ※ 所得が48万円以下でも確定申告は可能 |
私は、9年間会社員(システムエンジニア)として働いていましたが、子どもがうまれたことをきっかけにフリーランスエンジニアに転職しました。
会社をやめてから、フリーランスエンジニアになるまでにやったことについては、下記の記事で紹介しています。
本記事では、「退職前にやること」と「退職後にやること」を紹介しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以上、「【退職したことがない人向け】退職前にやること、退職後にやることまとめ」でした。